焼き締めの模様(焼き色)の種類と原理 一覧

焼き締めとは陶器の製作方法の一つで、器の保護、装飾の役目を果たす釉薬を使わない代わりに、長い時間をかけて高温でじっくりと焼き上げる焼き方です。

 

できる器は釉薬を使っていないのに赤かったり黒かったり、真っ赤な筋模様が入っていたりして、その模様(焼き色)ごとに名前が付いている程なのです。

 

その焼き色の種類と、その模様が生まれる原理をまとめて紹介します!

 

灰かぶり

焚口すぐ下の床で薪の燃えさしに埋めることでできる模様。溶けかけの灰がこびりつく様は樹皮のようです。

ただし灰被りは傷がつきやすく、完璧なものは

一度に焼ける陶器の中でも数点しか出来上がらないという貴重な焼けです。

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https://aucfree.com/m/items/e385088698

 

胡麻

1週間以上割り木を焚き続けなければ現れない模様です。

薪窯で薪の灰が作品に降り、高温で溶けて釉薬のようにガラス質にかわったもので、ゴマのように小さい斑点模様に見えます。

灰の溶け具合によってもカセ胡麻、黒胡麻などの種類もあります。

 

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https://www.elineupmall.com/c189/c495/c496/product-48992/

 

玉だれ

高温の状態で灰が大量にかかり、胡麻と同じくガラス状になり、量が多いために流れながら固まったものです。

 

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https://doronawagama.theshop.jp/

 

焦げ焼き

灰が多量に降りかかり、そのまま焦げ、苔のように黒い模様になったものです。

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https://tougeinet.com/shinngama/焼締還元電気炉で-信楽土を焼き締める/

 

桟切 (さんぎり)

灰やほかの器物で遮られたり、窯の隅などで直接火が当たらない場所が酸素が乏しい状態(還元状況)となり、灰色や金彩が現れます。

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https://tougeinet.com/shinngama/焼締還元電気炉「p13」「c13」で-備前焼の桟切さんぎ/

 

緋襷(ひだすき)

昔の登り窯では難しかったがガス、電気窯で鮮やかな緋色を作り出せるようになりました。

作品がくっつかないよう稲藁を置くと、アルカリ成分を含むわらと陶器の鉄分が反応して緋色の跡が表れます。

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http://kottou.p-kit.com/page368195.html

 

窯内で作品が強い炎を受けたとき、また他の作品とくっついて直接炎を受けなかった時に、周辺部より特に鮮やかに出た赤色のことです。

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https://www.umakato.jp/archive/coll/11_05.html

 

黒緋だすき

「緋だすき」と同様、巻き付けたわらが化学反応を起こして筋をつける現象であるが、還元焔焼成により朱色ではなく、黒い筋が現れるものをいいます。

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https://matsuhiro.thebase.in/items/28937471

 

牡丹餅  (ぼたもち)

作品の底を置く際などに、底と下のものがくっつかないように道具土という特殊な土を一時的にくっつけるのですが、その部分は炎も灰も触れないため、ほぼ素焼きになっている状態のことです。

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https://www.iichi.com/mobile/listing/item/1303295


道具土↓

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https://tougeinet.com/shinngama/焼締還元電気炉で-信楽土を焼き締める/

 

 

参照

https://www.toukichi.co.jp/tokutyou

https://touroji.com/elementary_knowledge/youhen.html

https://bizenyakija.com/bizenyakiColor.html