ひたすらカラフルな縞模様が並ぶ絵画…抽象画の好きな方は見たことがあるかもしれません。
ブリジット・ライリー (1981) Ra 引用元: https://www.artfund.org/whats-on/exhibitions/2019/06/15/bridget-riley-exhibition
この絵の作者は
ブリジット・ライリー
(1930-)、錯視芸術の代表的なアーティストです。
経歴
ロンドンの有名な美大Goldsmith College およびRoyal College of Art出身。
ヴィクトル・ヴァザルリやリチャード・アヌシキェヴィチと共にオプ・アートの代表的芸術家として有名で、MoMAやTATEにも展示されています。
カラフルな線で分かれた幾何学模様が目の錯覚を起こす作品は、点描画家ジョルジュ・スーラへからインスピレーションを受けたといいます。
1960頃からオプアートに取り組み始め、ヴァザルリと同じく"The Responsive Eye"展 で展示されたことで一躍有名になりました。
ブリジット・ライリー(1964) Pause
引用元: https://www.wsj.com/amp/articles/bridget-riley-review-the-varieties-of-visual-experience-11578343795
初期は白黒の作品を製作していましたが、
1970年頃から色や曲線を使い始め、
より強く視覚に訴える作品となりました。
ブリジット・ライリー (1967) Cataract 3. 引用元: http://realitybitesartblog.blogspot.com/2011/06/bite-125-bridget-riley-cataract-3-1967.html?m=1
Cataractには大滝、という意味のほか白内障という意味もあります。滝の水のような模様も感じるし視覚を惑わせるような模様でもありますね。
白黒と違い、色は人によって、また隣り同士の色によっても見え方が変わってしまいますが、この不安定さを利用することで新たなスタイルを生み出しました。
ブリジット・ライリー (1967-8) Late Morning. 引用元: https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/bridget-riley
1980年頃は純粋に視覚に訴えかける作品を制作し、"究極的なアイデンティティ"として形や色を扱うようになりました。
ブリジット・ライリー(1993) ナタラジャ 引用元:https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-liverpool/exhibition/dla-piper-series-twentieth-century/twentieth-century-exhibition-2
1980年ごろから規則性だけでなくリズムや空間も意識していましたが、90年からはそれを発展させ、色のブロックに分けた作風になりました。
右から左下へと流れる色によって、踊りのようなリズムや大きな動きが感じられます。
ブリジット・ライリー(2013) Arcadia 5
引用元: https://www.artsy.net/artwork/bridget-riley-arcadia-5
1990年代後半から現在にかけて、曲線を多用して画面がひときわ複雑になり、淡い色でウェーブ状の動きが感じられる絵を描くようになりました。
ブリジット・ライリーの作品は一貫して、色や形を抑えた非常にシンプルなスタイルでしたが、画風を大きく変化させながらテーマを追求し続けました。
どの作風も目を楽しませるリズム感があり、これからの変化も目が離せないアーティストです。