左右どちらからでも読める、アンビグラムのアート スコット・キム

右から読んでも左から読んでも同じ単語が…これを作ったのは

スコット・キム。

グラフィック・デザイナー兼パズル・デザイナーという、複雑な経歴を持つアーティストです。

 

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https://stancarey.wordpress.com/2012/10/18/scott-kims-symmetrical-alphabet/

経歴

スコット・キム氏は、10代から難易度の高い数学パズルを作るなど、昔から数学の才能のある少年だったそうです。

 

あの有名なスタンフォード大学に入り、音楽芸術の学位、コンピュータとグラフィックデザインの博士号を取得しました。これだけでも他分野に才覚を発揮していたことが分かりますね。

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https://scottkim.com/category/ambigram/

スタンフォード大学名誉教授であり友人であるドナルド・クヌースは、美しい最先端のフォント「Computer Modern」を制作した本人で、キムは彼の影響で文字に興味を持ちました。


作品は友人たちに見せるのみでしたが、SF雑誌オムニに1979年に掲載されます

それを見た作家のダグラス・ホフスタッターが「ゲーデルエッシャー、バッハ」(ピュリッツァー賞受賞作) の前書きに、彼に影響を与えた一人としてキムの名を挙げたのです。

 

これらの出来事は彼の名を知らしめ、1981年に「インバージョンズ」という画集まで出版しました。

 

制作方法

MOMが逆さまにするとWOWになる、というような、線対称や回転対称になる文字を利用したアンビグラムと呼ばれる文字遊びを、美しい書体で芸術的に表現します。

文字のだまし絵といったところでしょうか。

絵より自由度の低い文字にトリックを隠すのは困難に思えますが、キムは文字が意味を持つことを逆手に取り、愉快で美しいアートを生み出しています。

 

作品紹介

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ファンタジー

引用元: http://people.eecs.berkeley.edu/~sequin/CS39/IMGS/Ambigrams/c_kim_fantasy.html

 

 

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引用元: https://www.google.co.jp/amp/s/researchstudio.wordpress.com/2010/03/03/scott-kim/amp/

「Inversions」という単語が「Scott Kim」の文字に

 

最近の活動

彼はアンビグラムと"インバージョンズ"の制作を続けるだけでなく、

コンピュータ・アニメーションにまで表現の幅を広げ、

なんとオリジナルのパズルもコンピュータゲームとして制作しました。

多才な彼ならではの追求心ですね。

 

少年期から慣れ親しんだパズルへの情熱も尽きることなく、

雑誌 サイエンティフィック・アメリカンやゲームズに数百ものパズルを制作しました。

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意味をなさない模様かと思いきや

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下の段の模様が分裂して右にずれ…

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John Maeda の文字に!!

引用元: https://www.google.co.jp/amp/s/maeda.pm/2017/12/17/scott-kims-ambigrams/amp/

何が起こったのか分からない…

一体どうやって考えつくのでしょう。常人には考えられないしくみですね…


最近も活動を続けていて、

scottkim.com というサイトでは

動くパズルも掲載されています。

 

2020年まではPDT(アメリカ太平洋夏時間)午後2時からZoomでパズル教室も開いていました(2021年7月現在は予定がないようです)。