今回紹介するのは細密画のトリックアーティスト、ヨース・ド・メイ(1928〜2007)。
ブリューゲルのような精密なタッチで描かれた景色はだまし絵で、よく見るとありえない光景が隠されています。
下の絵では、窓も左からみた窓と正面からみた窓のかたちが溶け込んでいて、自分の目が信じられなくなる不思議な感覚になります。
Uilenvenster in oude hoeve (直訳:古い農場のフクロウの窓)
引用 : http://www.artnet.fr/artistes/jos-de-mey/uilenvenster-in-oude-hoeve-OFW7sdheFnadZ-2pt0XTeA2
経歴
ヨース・ド・メイはベルギー、ゲントの王立芸術アカデミーで学んだ後、39年間建築内装と色彩学を教えました。 絵に集中的に取り組み始めたのは1968年、なんと40歳からのことでした。
現実にはありえない構造のものを細密に描くのが特徴で、エッシャーの不可能な構造物と、ブリューゲルのような細密さとマグリットのようなシュールさを巧みに混ぜ合わせています。
ヨース・ド・メイ(1997) De Denker van Escher geobserveerd door de Therapeut van Magritte
(直訳:考える人エッシャーがセラピストマグリットに観察されている)
参照: https://im-possible.info/english/art/mey/illusionistic-painting/238.html
よく描かれるフクロウと人々
フクロウと人が二、三人描かれることが多いのですが、彼の絵に頻繁に登場するフクロウは、フランドル地方では賢者を象徴することもあれば、逆にと愚かさを演じる者、を象徴することもあります。相反する人格を象徴するこの鳥は、画家の分身でもあるそうです。
小さめの人々は画面内のスケールの表現に一役買っていて、人々が小さければ建物などが大きく見え、大きいと周りの物が小さいと認識できるのです。風景の一部を隠してしまっていますが、それがかえって景色の不可能さを強調しているのです。
世界中の誰が見てもありえない景色だと分かるよう、誰でも思い浮かぶ家や木などをモチーフにしています。 その一方で、自身の国民性や地域性を表現したいと思っている、と言っている通り、街並みやレンガ壁、青空はひと目見て画家を思い出すほど個性的です。
参照:https://im-possible.info/english/art/mey/after_escher.html
ヨース・ド・メイ(制作年不明)Piper Bridges And Concorde (直訳:笛吹き 橋とコンコルド)
参照: http://art.ayay.co.uk/art/optical_illusion/jos_de_mey/piper-bridges-and-concorde/
※コンコルド…英仏が共同開発し、商業化した超音速旅客機 https://eow.alc.co.jp/search?q=concordeより引用