食べ物やゴミもアートにしてしまうアーティスト、
ヴィック・ムニーズ の紹介です
(1997) Medusa Marinara
https://www.wikiart.org/en/vik-muniz/medusa-marinara-1998
砂糖や葉っぱ、ゴミなど、通常絵には使わないような材料を使います。
その理由は彼が作品を作る上で大切にしている、「人々のものの見方を変える」こと(セッケル, p.185)。
人の目が、見た目ですぐに物を判断してしまう性質を逆手に取っているのです。
見かけで肖像画だと思って近づくとさまざまな物体が見えてくるため、遠目のイメージは小さな物をカモフラージュのように隠してしまいます。
そのギャップを作ることで、見かけだけではなく目に見える物をもっと分析するように、注意を促してくれるのです。
マラーの死(ダヴィド)をゴミで再現
Marat (Sebastiao) Picture of Garbage (2008)
https://www.wikiart.org/en/vik-muniz
材料選びにもきちんとポリシーがあります。
「私は通常、腐敗しやすいか、不安定な材質で作品を作ります。なぜならすべての絵の時間的な要素を強調したいからです。
それらは私のカメラのレンズのためだけに例外的に実行された約1秒間の短いパフォーマンスの記録なのです…」
雑誌の写真によるオバマ元大統領
Obama (from the series 'Pictures of Magazine 2'), 2012
https://www.artsy.net/artwork/vik-muniz-obama-from-the-series-pictures-of-magazine-2
「…私は使っている材質のありふれた面に関心を向けさせたくはないのです。
私は何も差別はしていません。全ての材質は、それが油絵具であろうと象の排世物であろうと、 絵にとっては何か役にたつものがあります。
人々が媒体を変化させることによって楽しむということが興味深いのです。(セッケル, pp.185-187)」
もう使えないと思っていた物でもアートとして楽しく変身できる、といったポジティブなメッセージが込められているのですね。
オバマ大統領の肖像画は特に、差別をしない、というメッセージが強く伝わってくるのではないでしょうか。
以上、遊び心満載ながらも心に響く作品を作るアーティスト、ヴィック・ムニーズの紹介でした!
床にゴミをちりばめて作ったヴィーナスの誕生(2002)
The Birth of Venus out of garbage strewn across a floor,
https://www.artspace.com/magazine/interviews_features/close_look/vik_muniz_close_look-51498
参照
アル・セッケル(2008] 錯視芸術の巨匠たち - 世界のだまし絵作家20人の 傑作集 - pp.185-pp.187